日本の大手総合スポーツ用品メーカーとして、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、様々な商品・サービスを提供しているミズノ株式会社。プレジャーとは、ミズノ社製人工芝の新たな販路先として「保育園」をご提案・開拓したことから、関係がスタートいたしました。
今回は千代田区神田にあるミズノ株式会社東京本社にうかがい、スポーツ施設サービス事業部の山田氏とプレジャー代表木村の対談をおこないました。ミズノ社製人工芝の特徴から、保育園への導入がどのように進められたのか、お互いの印象、今後営業していきたい商品にまで話が広がりました。
最初にミズノの人工芝の特徴を教えていただけますか?
山田 ミズノの人工芝が一般的な人工芝と大きく違うのは、 “捲縮(けんしゅく)加工”といって葉が縮れている点ですね。これを“MIZUNO SPIRAL TECHNOLOGYミズノスパイラルテクノロジー”と呼びます。
スポーツに使う人工芝には、充填材として砂やゴムチップが敷かれているのですが、まっすぐな葉だとこの充填材が飛び散りやすいんです。
ミズノの人工芝は、縮れ加工により充填材が飛び散りにくいことが評価されて、野球場を始め多目的用途にも対応できる点でさまざまなスポーツフィールドに採用していただいております。
どんなところに導入されているのでしょうか
山田 名古屋のバンテリンドーム、大阪の京セラドーム大阪、あと千葉のZOZOマリンスタジアムでしょうか。一番古くから導入しているのは西武ドーム(現在のベルーナドーム)ですね。この捲縮加工された人工芝の評判がとても良く、「スポーツを行わない場所用の人工芝にも展開してみよう」という発想から生まれたのが「WR」という充填材なしの直張りするタイプの人工芝です。
木村 「WR」は元々どんな場所での利用を想定していたのですか?
山田 緑で爽やかに演出する、美観を作り出す内装用として考えていました。捲縮加工を応用した高いクッション性が、スポーツクラブのヨガやストレッチをする場所にマッチするのではと。あとはそういった施設の待合室や、会社のベランダに敷いてあると、リフレッシュスペースといった雰囲気も作れると思います。一面緑だと本当に爽やかさを感じるんですよ。
木村 景観性もアップしますよね。
山田 幅の広いカーペットの様な形態で敷いて張り合わせるんですが、葉が捲縮で絡み合うので、継ぎ目もみえないんです。
木村 御社の人工芝は本当にクッション性が高くてふかふかなので、保育園の子どもたちが裸足で歩き回っても安心なんです。充填材がはいっている人工芝(直毛タイプ)だと、排水路もチップだらけになるんですが、それもない。施工もしやすいですよね。
山田 そうなんです。ここは下に防水のシートを敷いた上に接着剤でノリ止めしているだけで、施工にも時間はかかっていないんです。さらにこのタイプの芝はやけどもしにくくて。昔、私はアメフトをしていたので、人工芝は嫌なフィールドだったんですが、この人工芝ではそういったことはありません。
プレジャーとのお付き合いのきっかけを教えていただけますでしょうか?
山田 異業種交流会で、弊社の社員が木村さんと名刺を交換したのがきっかけです。当時ミズノとしては新しい市場を探そうとしていたところでした。我々は小学校・中学校・高校・大学は付き合いがありましたが、プレジャーさんのお客様である保育園という市場は未開拓で。プレジャーさんと、“共働”、共に働くということで開拓していこうとお付き合いが始まりました。
木村 お名刺交換をさせていただいてから、半年ぐらいして連絡がありまして(笑)。それであらためてお会いしてお話ししました。最初は弊社のお客様とミズノさんの何がマッチするのか模索していたんです。キッズシューズとか、子どもたちの運動プログラムとか。その流れでミズノさんが、スポーツに特化した幼稚園に人工芝を導入したというお話をお聞きして。それで以前人工芝を敷いている保育園の先生が、充填材が子供達に足にベタベタくっついて部屋に持っていって困るとお話をされていたのを思い出して。充填材のいらない、直張りができる人工芝はいいなと思いました。
実際に保育園さんに提案されたときのお話を伺いたいのですが
木村 園庭って、砂が風で飛んだり、雨で砂がながれて側溝がつまったりするんです。その掃除が大変なんですよね。あとは運動会やイベントがあると、砂が巻き上がって靴が白くなってしまうこともある。「これなら絶対人工芝にした方がいい」と。子どもたちが転んでもひどい怪我になりにくいですし。それでお付き合いのある保育園にミズノさんの充填材がいらない人工芝の話をどんどんしていたんです。
どんな反応でしたか?
木村 まず園長先生たちに「人工芝にする」という発想がなかったんです。土の園庭が当たり前になっている。それで人工芝の話をしてみたら、「ミズノってそんなものも扱っているんだ」とか「面白い」ってすごく反応が良かった。こちらが説明する時も「(スポーツブランドで有名な)ミズノさんの人工芝ですから安心ですよね」と言えるんです。“ミズノの人工芝の園庭がある”というのは一つのブランディングになるじゃないですか。今は子どもが減りつつあって、保育園でも定員割れしているところも多い。園長先生の中には「ブランディングをしていこう」という意識をお持ちの方がいるので、そこにも響くようです。
山田 カーペット状の人工芝は出回っていても、それはクッション性がほとんどないモデルなので、”直置きなのにクッション性がある”というところで差別化できていたのがポイントだったのかなと。
木村 僕らはこの人工芝をちぢれ麺と呼んでいるのですが(笑)。充填材がなくてもクッション性があると言うのは、確かに(他の製品と)差別化できますよね。
保育園への導入、ミズノ社内ではどんな反応がありましたか?
山田 どうしても我々だけですとスポーツにとらわれて、そこだけに一生懸命になってしまうんです。でも今の時代は、開発した商品をいろいろな場面で使っていただくことが大切だと思っています。その意味で保育園というスポーツとは直接関わりのない場所に導入していただけたのは大きな反響がありました。使う用途のひとつとして園庭という場所があるというのをプレジャーさんに教えていただいた感じですね。
人工芝は保育園の「工事に時間がとれない」という条件にもマッチしていますね
山田 特にこのモデルは充填材を使わないのと継ぎ目がわかりにくいということで、加工と施工がしやすく、工事時間をかなり短縮できるのがマッチしたのだと思います。また普段スポーツフィールドでの施工は、我々が抱えている技術員が行なっているのですが、そこで培ったノウハウをそのままプレジャーさんにお伝えさせていただいていまして。いろいろな現場に人工芝を入れていただくことによって、プレジャーさんの中でも見地が上がっていますから、ミズノのノウハウとプレジャーさんの経験が合わさって、良い形で“共働”させていただいているのかなと思います。
何より弊社がありがたいのは、施工を任せられるということなんです。これまでは人工芝の販売から施工までを我々が丸抱えしていましたが、人工芝をモノとして扱って営業していただいて、施工まで受け持ってやっていただけるというのは、プレジャーさんが初めてだったんです。それは大きいですね。
安心てお任せできるということですね
山田 はい。特に保育園というカテゴリを示していただいたことで、すでに弊社とお取引のある学校法人の傘下の保育園や、企業の会社内託児所とか、そういう市場があるということに目が向きました。そういう意味では、本当の先駆けだと思います。例えばミズノの人工芝はいいものだとわかっても、お客様からすると「ミズノって工事は大丈夫なの?」と心配になる。それがプレジャーさんのような建設会社が入ると安心しますよね。そして我々も施工の技術提供を行うことで、品質をより高く保ち、お客様にとっての安心材料にもなる。お客様、プレジャー、ミズノというトライアングルで進めることで、三方にメリットがあるんです。以前は一対一ですべてやろうとしていたので、なかなか大変でした。今後は体操クラブなどにも販路を広げていけたら嬉しいですね。
ずばりプレジャーの強みはどんなところだと思われますか?
山田 私たちにないネットワークをもっているというところですね。そして十分商品を理解した上でお客さんに対して適材適所なアクションをおこなっていただいているといつも感じています。
木村 ありがとうございます。
山田 私もプレジャーさんのご担当様と一緒に営業に行かせていただくことがあるのですが、まずお客様との確実な信頼関係ができあがっていることを感じます。その信頼関係がある上で弊社の商品を提案していただいているので、どこにいっても商談をしやすいんです。“最後の一手”というところに入れていただく感じといいますか。だからこそ逆に私たちも「プレジャーさんとお客さんとの信頼関係を裏切らないようにしっかりやらないといけない」という気持ちで気を引き締めてお話させていただいています。
また会社として若手の育成にも力を入れられていて、営業の方も商品についていろいろ質問してくださるので、熱心だなと思っています。
プレジャーにとってミズノという会社はどんな存在でしょう?
木村 人もそうだし、会社もそうなんですが、ストーリーが明確なのがすごくいいんです。意味のあるものを売れるというのが。歴史のあるハイブランドでありながら、人間臭いところもあって。
いろいろお話しをする中ですごく驚いたことがありまして。僕の実家の近所に、小さなスポーツ用品店があるんですけど、そこのお店を知っていたんですよ。「うそやろ!」と思って(笑)。本当に町の小さいスポーツ用品店ですよ?「今は息子さんが継いで大きいお店になりましたよね。」って、そういうのを、全部知っている。すごいなって。僕がミズノさんと一緒にやっていきたいと強く思ったのは、そういった “ミズノイズム”の素晴らしさなんです。
山田 全部のお店を知っているわけではないかもしれませんが(笑)。でもそういうひとつひとつのお店とのお付き合いを大切にしている社員は多いです。
木村 あとミズノさんは応援した選手は、ちょっと成績が振るわなくてもずっと最後まで面倒をみる。「なんでですか」と聞いたら、「選手を商品として捉えて契約するのではなく、ミズノの一員として、ブランドのアイデンティティを高める仲間として“一緒にやっていこう”という気持ちでいる」と言うんです。
山田 選手が引退しても、コーチになったり、GMになったりしますよね。だから、ミズノとのつながりが途切れずに、また一緒に仕事ができるんです。いろいろな種目の代表チームのユニフォームを提供しているのも、「ミズノは途中で絶対に撤退しない、いつまでも応援する」という気持ちの表れだったりします。
木村 あとはモノが良すぎるところも素晴らしい(笑)。
山田 「モノの良さ」にはこだわりますね。値段は安くないです。でも良いもので長持ちする。そうでないと信頼が得られないですから。でも良すぎてずっと使えるから、買い替えていただけないんです(笑)。
木村 僕もいつも言っていますけど、ブレスサーモ(体から出る水分を吸収して発熱するミズノ独自の吸湿発熱素材)の長持ち度は半端じゃないですね。高校時代に買ったものが今でも実家にあります。ずっと着られますよね。おかしいくらい(笑)。
山田 アンダーウエアがあんなに持つのはすごいですよね。
木村 その基準値って誰が決めているんですか?
山田 大阪本社に商品の性能・品質を管理する部門があります。我々の経営理念は「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」こと。ですので、例えば新しいものをご提案いただいても、審査の数値基準がとても高く、まず通らない。その基準をきちんと超えていないとミズノの名前を付けて売ることはできないんです。そうやって100年以上やってきた会社だからこそ「ミズノの商品は物がいい、長持ちする」というのが浸透していて。それを分かってくださっている方がいるのがとてもありがたいですね。
木村 こういう話をいつも聞いているから、「ミズノは最高だな」となるわけです(笑)。保育園の園長先生もそういう部分を気に入ってくださる方が多いんです。「ミズノさんの人工芝なんです」って言うと、「え、そんなこともやっているの?」って。それで野球からスタートした話や、いろいろなこだわり・思いとか、人工芝に限らず、ミズノさんの商品を扱うときはそういう“ストーリー”を話せるのが営業として面白いなと思っています。
これからの展開について、どんなことを考えていますか?
木村 人工芝はもちろんですが、今新しいものを常に探しているんですよね。なかなか上手くハマらないですけど、子どもに靴を提案したいとはずっと思っています。最近の子供たちは浮指になっているというのを聞いて、気になっていて。自分の足にあっていない靴を履いている子が多いせいで指が曲がってしまい、走り出すときに指で地面で掴む動作がうまくできない。そのせいで指が力を入れることに慣れていなくてずっと浮いた状態になるんです。
山田 昔はみな裸足だったから自然にできるようになっていたんですけどね。
木村 あとは保育園や幼稚園に向けてということで考えると、GRIPという床に塗るメンテナンス材を考えています。 GRIPは鼻につく匂いもないし、水分を含まないので床が痛まない(床が痛む1番の原因は水分と言われている)ということで文科省から認定を受けているメンテナンス剤なんです。
山田 ミズノとして、体育館などの床の施工を承ることがあるんですが、その時は綺麗に塗装を行います。でもそのあとにどうやって長持ちさせるかというのが大事でして、そのメンテナンスに特化したものが、GRIP、NONGLIPというメンテナンス剤です。
木村 GRIPは普通のじょうろで撒いて、モップで塗り広げるだけで汚れも落ちて床もメンテナンスできる。先生が床に塗るときも匂いがしないし、楽にできるのはいいなと思っているので、提案していきたいと思っています。
それ以外にも作業をする時に腰椎や骨盤にかかる負担を軽減して、体をアシストするもの(ミズノパワーアシストスーツ)が気になっています。重いものを持ったり上の方を向いて作業したりするのをサポートしてくれるもので、果樹園の方とかにおすすめしてみたいんですよね。
山田 屋外での作業をされる方にはミズノのレインコートもおすすめです。水を全然通しませんから。作業靴も長靴もいいのがありますし。
なんでも揃いますね(笑)
木村 展示会にいくと、売ってみたいなと思う商品が本当にたくさんあるんです。
山田 カタログが辞書みたいな厚さになるくらい、すごくいろいろな商品がありますからね(笑)。
木村 サプリとか食品系もありますしね。ミズノさんのこだわりが詰まったいい商品がたくさんあるので、その中からまた面白い商品を探して、プレジャーでも営業していけたらいいなと思っています。